2013年12月24日と25日にNHKが2夜連続で放送した、クリスマス特別企画のTVドラマ。
アイドルグループ・ももいろクローバーZの地上波における初主演ドラマとなった。
結成3年目のクリスマス・ライブを目前したアイドルグループ「Twinkle5」は、リーダーのユズリン(飛鳥凛)の脱退により、あっけなく解散してしまう。バラバラに別れて一般人に戻り、失意の日々を送っていた4人のメンバーの元を、「カナエ」と名乗る不思議な少女が訪れる…。
■物語の解釈と原型について(以下、大幅なネタバレを含みます)
永遠の命を持つ天上の天使が、限りある命のなかで懸命に生きる地上の人間の姿に心惹かれ、翼を捨てて地上に降りる決心をする。という物語の原型は、1987年に公開されたヴィム・ヴェンダース監督の仏・西独合作映画『ベルリン・天使の詩』にある。静謐な空気を持つ芸術的な作品で、カンヌ国際映画祭・監督賞を始めとする数々の映画賞に輝いた。
1993年には続編の『時の翼にのって/ファラウェイ・ソークロース!』が公開され、ベルリンの壁崩壊後の天使と元天使たちの姿が描かれた。
その後、『ベルリン・天使の詩』をより一般向けに、ハリウッドでニコラス・ケイジとメグ・ライアンの主演でリメイクしたのが1998年の『シティ・オブ・エンジェル』だ。
■カナエは天使なのか?
『ベルリン・天使の詩』と『天使とジャンプ』
『ベルリン・天使の詩』の主人公の天使ダミエルは、人間を観察するだけの日々に嫌気がさしていた。ある日、サーカスで空中ブランコを練習をしている女性マリオンを見かけ、一目惚れして、人間になることを決意する。
『天使とジャンプ』では、謎の少女カナエが、自分は天使であり、地上から聞こえてくる歌声に惹かれて地上にやってきたと、Twinkle5のメンバーを再結成へと誘う。カナエの正体は最後まで明示されないが、作中で人間であることを暗示するような描写は一切ない。カナエの言葉を文字通り捉えるなら、彼女は正真正銘の天使だったが、Twinkle5に惹かれて地上にきたために翼を失い、空へ戻れなくなったことになる。
ここで、アイドル(=天使)に戻ろうと苦闘するTwinkle5のメンバーと同じように、カナエも空に戻れないという問題を抱えていたことが判明する。そのカナエに対して、Twinkle5のメンバーは「飛べなければ、跳べばいい」という言葉を贈る。
永遠の存在である天使も、限られた命しか持たない人間も、同じように悩み支え合うことができる。
これは『ベルリン・天使の詩』と『天使とジャンプ』の双方の根底にある、普遍的なテーゼだと言えるだろう。
■カナエと夏菜子
なお、カナエという名前はカナコ(夏菜子)と一文字違いだが、「夢をかなえる」という言葉にもかけているのかもしれない。
また、「飛べなければ、跳べばいい」⇒『天使とジャンプ』のジャンプが、百田夏菜子のエビ反りジャンプにかけられているのは言うまでもない。
さらに作中でメンバーがカナエの手を掴んで「この手、離さないよ!」と言うのは、百田夏菜子の名セリフ「この手、離さないで!」が元ネタだろう。
万能の天使のはずなのに、Twinkle5を天使の仲間と思い込んだり、翼を失って空へ戻れなくなったりと、カナエはちょっと抜けたところがある。それも、現実の百田夏菜子と一致する点だ。
カナエ:百田夏菜子
解散したTwinkle5のメンバーにつきまとう、謎の美少女。
阿部柚希(ユズリン):飛鳥凛
Twinkle5のリーダー。テーマカラーは赤。
川添美奈(ミーニャ):玉井詩織
Twinkle5のメンバー。テーマカラーは黄。ツインテールがトレードマーク。
小野春乃(ノンノン):佐々木彩夏
Twinkle5のメンバー。テーマカラーはピンク。バレエが得意で踊ることが大好き。
原江梨子(リコピー):有安杏果
Twinkle5のメンバー。テーマカラーは緑。普段はメガネをかけている。
五十嵐弥生(ドッキー):高城れに
Twinkle5のメンバー。テーマカラーは紫。実行力がある。
山口:野間口徹
Twinkle5のマネージャー。クリスマスライブを企画するが、チケットの売れ行きに頭を悩ませる。
Twinkle5のメンバーが住んでいたアパートの大家。再結成のために戻ってきたメンバーに、今は廃屋となった銭湯「星の湯」の鍵を渡す。
野上由紀子:有森也実
小野春乃が手伝うバレエ教室の先生。
川添直則:遠藤憲一
川添美奈の父親。理髪店を営んでいる。
岩垣隆太:君沢ユウキ
五十嵐弥生が働くフライドチキン屋のイケメン店長。
松下小百合:田中 明(たなかめい)
原江梨子の高校のクラスメイト。Twinkle5のファンだが、原江梨子がリコピーだとは気がついていない。
北野守:久保酎吉
「星の湯」の近所のオジサン
振り付け師:石川ゆみ
Twinkle5の振り付け師。レッスン場のシーンに登場し、セリフもある。「天使とジャンプ」はももクロの初主演作であると同時にゆみ先生の女優デビュー作ともなった。
■劇中歌
・「TwinkleWink」
・「JUMP!!!!!」
■スタッフ
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登場人物、キャストのなかにゆみ先生もいれてほしいです。
ゆみ先生も初演技ではないでしょうか