紅白の向こう側(こうはくのむこうがわ)

 代々木公園のけやき並木の路上から隣にあるNHKホールを見上げながら、いつの日か紅白歌合戦に出場することを夢見ていた、ももいろクローバーZのリーダー・百田夏菜子が折に触れて発していた言葉。

 ももクロのメンバーは、4年半の月日を経た2012年12月31日 、ついに第63回紅白歌合戦の舞台に立った。
 そして「紅白の向こう側」で一年間さまざまな経験を積み重ねたももクロのメンバーは、第64回紅白歌合戦で2回目の出場を獲得した。

 
■始まりは「バトル アンド ロマンス」のリリースイベント

 百田夏菜子が「紅白の向こう側」という言葉を初めて公式に発したのは、2011年7月27日に行われた1stアルバム「バトル アンド ロマンス」のリリースイベントでのことだった。
  この日、ももクロのメンバーは選挙カーに似せた宣伝用ワゴンに分乗し、都内の要所を立候補者のように挨拶しながら新アルバムを宣伝して回った。
 その 締めくくりに東京タワー前で行った「所信表明演説」において、百田夏菜子は以下のように語った。
「皆さん、絶対に迷わないでください。これからも私たちに付いてきてください。……お前ら、一緒に行こうぜ! 紅白の向こう側!

「一緒に行こうぜ!紅白の向こう側!」ももクロ所信表明(ナタリー)
 

 「所信表明演説」以後、百田夏菜子はブログやUstreamなどで「紅白の向こう側」という言葉を何度も使っている。
  2012年9月16日の氣志團万博2012に出演して「One Night Carnival」を歌ったときには「俺たちがやさぐれた事に理由(わけ)なんてねーんだよ。ただ、少しだけ不器用だったのかもしれない。(中略)行こうぜ ピリオドの向こうへ…」というクライマックスの台詞の部分を以下のように変えて歌った。

 ももクロになった事に理由なんてねーんだ! ただ少しだけ、可愛かったのもかもしれない。
 行こうぜ 紅白の向こう側!

 また、2012年11月15日放映の「ひみつの嵐ちゃん」に出演したときも「紅白の向こう側を見てみたい」と話し、嵐の櫻井翔から「それって、ピリオドの向こう側みたいな?」と聞かれて、「まさにそのまんまなんですけど…」と答えている。

■目標ではあるが、ゴールではなく通過点

 「紅白の向こう側」という言葉は、紅白歌合戦出場を目標としながらも、そこをゴールとはせずに、その先に広がる新しい世界においても、いままでと変わらずに攻めの姿勢で活動しようという決意を表している。
 そのことは、紅白歌合戦出場翌朝の元旦の朝に、国立競技場を訪れて、そこでライブをすることを次の目標として定めたことにも現れている。また、2013年になってしばらくしてから「紅白の向こう側」について聞かれると、ももクロのメンバーは異口同音に「何も変わらなかった」と答えている。


■「スピードの向こう側」と「ピリオドの向こう」

 2013年4月20日放送の「ももいろダイナソーZ」の企画で漫画家の所十三のもとを訪れた高城れには、所十三について「“紅白の向こう側”のもとになった人だと聞きました」と言っていた(この訪問をきっかけに所十三は熱烈なモノノフとなる)。

 これは、所十三の代表作『疾風伝説 特攻の拓』(かぜでんせつ ぶっこみのたく)の中で登場人物が語るキーワード「スピードの向こう側」のことを指しているようだ。
 「スピードの向こう側」は、作品中ではバイクによる暴走と疾走の果ての不可思議な現象と体験のことで、登場人物の多くがそれに魅せられ、目標とする。

 特攻の拓と同じツッパリの世界をテーマにしたロックバンドである氣志團の代表曲『One Night Carnival』の「行こうぜ ピリオドの向こうへ…」というセリフは、「スピードの向こう側」をヒントとして、ピリオド=ものごとの終着点を超えて疾走し続ける、立ち止まらない生き方を歌っているのだと考えられる。

 また、チェッカーズの『Jim & Janeの伝説』という曲にも「行こうぜPeriodの向こう」という一節がある。藤井フミヤは、暴走族をテーマにした少女マンガ『ホットロード』をイメージして歌詞を書いたとされ、氣志團の「ピリオドの向こう」は、こちらの影響を受けている可能性もある。

 ちなみに『ホットロード』は2014年に実写映画化される。主演は2013年にNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で主役を演じた能年玲奈。能年は『あまちゃん』でアイドルを演じるにあたって、ももクロのライブDVDを参考にしたなどとと述べており、2013年の第64回紅白歌合戦のPR大使にも任命されている。


■動画

one night carnival ももクロ



氣志團・OneNightCarnival



The Checkers - Jim & Jane の伝説

 


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