秋桜(こすもす)

「秋桜」(コスモス)は、1977年 10月1日に発売された山口百恵の代表曲のひとつ。
作詞・作曲:さだまさし、編曲:萩田光雄。 
第19回日本レコード大賞 で、山口百恵は歌唱賞を、作詞者のさだまさしは西条八十賞を受賞した。

アイドルグループ・ももいろクローバーZのメンバーである佐々木彩夏にとっては、一年近くにわたる挑戦と成長のテーマとなった曲でもある。

【最初の挑戦:お台場フォーク村】

 2013年7月17日、歌手のさだまさしが、日本武道館において4000回目のソロ公演「MASASHI SADA   NIPPON-BUDOUKAN 4000-4001 PERFORMANCE 17.18.July 2013.」を開催した。


 このコンサートのゲストの一人として佐々木彩夏が招かれ、さだの代表曲でもある「秋桜」を作者のさだ本人と一緒に歌った。

 このデュエットは、佐々木にとっては大きな意味のある記念すべきできごとだった。


 佐々木が初めて「秋桜」に挑戦したのは、2012年8月14日にCSフジテレビNEXTで放送された「坂崎幸之助のお台場フォーク村デラックス」にももいろクローバーZとして出演したときのことだった。

 この番組でももクロの各メンバーは自分で選んだフォークソングを一曲づつ坂崎幸之助の生ギターで観衆の前で歌うという挑戦をした。

 このとき、佐々木が自ら選んだ歌が「秋桜」だった。佐々木の母親がよく歌っていた曲だから、というのが理由だった。


佐々木 私のママが、すっごく心配性でですね、あーりんのこと大好きなんですよ。

坂崎 ふむ。

佐々木 で、ママとよくやるごっこがあって。結婚をする前の日ごっこというのを…。

坂崎 結婚前夜ですね。

佐々木 そうです。

坂崎 良かった、初夜じゃなくてね。 結婚前夜ですね。

観客 (ひときわの拍手と歓声)

佐々木 (観客に向かって)いいから、そういうことしなくて!

坂崎 (観客に向かって)スルーしろ!

佐々木 そう。そのときにママがよく「秋桜」を歌っていて。だから…今日は(急に照れる)だから今日は、明日嫁入りする気持ちで、歌おうと思います!

坂崎 お母さん聞いて、どんな感じになるの?

佐々木 え? わかんない! でも、いっつもその前日ごっこをすると、「あーりんはママとずっと一緒にいようね」という、結論になるんで。

坂崎 あら!

佐々木 そうですね、ママはたぶんあーりんのこと手放してくれないと思うのでぇ…。これ歌ったらどんな気持ちになるんだろ!?

坂崎 そうか。手放してくれないのか、お母さんが。

佐々木 そう、だってあーりんのこと大好きだもん。

坂崎 (観客に)残念だったな、みんな!  

高城 じゃあ今日はさあ、ママを泣かしてみようよ。

佐々木 うそぉー! そうやってハードルを上げないでよ!

坂崎 え? ママ見てる?

佐々木 (無言で強くうなずく。とても恥ずかしそう)

玉井百田 ママ、見てるね!

坂崎 ママ、泣くよきっと。

佐々木 (可愛く)泣かせたる!  頑張ります!


 こうして頑張って歌った佐々木であったが、そもそも坂崎は「難しい曲」だと言っており、佐々木も苦戦を強いられた。

 佐々木はよほど悔しかったと見えて、この日はブログに2回も投稿し、2度めは秋桜の失敗について率直に語った。


名曲の『秋桜』を歌わせてもらえるって聞いて本当 にうれしくて楽しみでドキドキして…


それなのにソロで大きく音はずしちゃって本当にごめんなさい


フォーク村のみなさん、見に来てくださってたみなさん

私たちを呼んでくださった坂崎さん


本当にごめんなさい


もちろんあーりんが『秋桜』を歌うなんて何十年も何百年も何千年も早いのはわかってたけど


でも挑戦させていただけるってとてもうれしくて…。



それなのに本番であんな失敗しちゃうなんてあーりんの練習不足でした


2012年8月15日「☆ありがとうございました。あーりんです。☆」(佐々木彩夏 オフィシャルブログ 「あーりんのほっぺ」)





【2度目の挑戦:ももいろ夜ばなし「白秋」】

 佐々木はブログのみならず、この直後に行われたQuickJapan 104号の単独インタビューでも、ふたたび秋桜の失敗の悔しさを語った。

 このインタビュー記事に触発されたチーフマネージャーの川上アキラは、リベンジ企画として、ももクロだけの単独フォークソングイベント『ももいろ夜ばなし「白秋」』を2012年11月17日に開催し、ももクロのメンバーはお台場フォーク村と同じ曲を歌うことになった。

 佐々木も「秋桜」に再挑戦して、まだまだ歌いこなせているとは言えないものの、わずか3ヶ月の間に確実に成長したことを証明した。


 この日も佐々木はブログに2回投稿し、2回目はかなりの長文で、秋桜への思いから、コードの理解、歌詞の理解について、そしてスタッフやファンへの感謝の気持ちについて切々と語った。


今回のライブの内容を聞いたのはつい最近。

それを聞いてあーりん、Kマネは本当もう鬼だと思った(笑)

いつかはリベンジしたいと思ってたのは本当だよ?!

みんなに成長したあーりんを見てもらいたいって強く思ってたけど

まさか こんなにも急だとは思ってなかったし


(中略)


もちろん、あーりんの歌は100点じゃなかったかもしれない。

だけど、いまのあーりんの精一杯だったと思う

また歌わせていただけるなら、絶対に昨日を越えるからねっ


2012年11月18日「☆ありがとうございました。あーりんです。☆」(佐々木彩夏 オフィシャルブログ 「あーりんのほっぺ」) 



【3度目の挑戦:さだまさしと日本武道館】

 そして、お台場フォーク村から一年近く経って、ついに作者さだまさしと一緒に「秋桜」を歌うことになった。


立川談春 これ、リクエストカードをいただいてまして、「うちのメンバーの佐々木彩夏のメンバーが超過保護でお嫁に出して貰えないかもしれません。なので、疑似嫁入り前前夜を体験させてください。よろしくお願いします」。ももいろクローバーZさんから、この「秋桜」にリクエストカードをいただいた上に…

さだまさし ほー? そうですか。

談春 本日は、ももいろクローバーZの佐々木彩夏ちゃんが、あーりんが、会場に来てくれています。お呼びしましょう。あーりん!

(白い煙幕のあと、佐々木彩夏が登場。Zポーズ、そして、深々とお辞儀。)

さだ 凄いですよ。生、ももいろクローバーZ。

坂崎 生もも。

さだ ありがとうね、彩夏ちゃん。

佐々木 はーい。えーと、ちょっと、自己紹介させてもらっていいですか?

さだ 過保護なんですか?(自己紹介させない)

佐々木 そうなんですよ、メチャメチャ過保護なんですよ。私のママが。

さだ ママが。

佐々木 ママが! なんか、門限とかあったり。どこに行くにも誰々ちゃんとどこに行くみたいのをちゃんと報告しなくちゃいけなくて。

さだ 普通でしょ!

観客 (笑)

佐々木 でも、高校生になったんですよ!

談春 きっと、門限が早いんですよ。

佐々木 そうなんですよ!

さだ 門限、何時?

佐々木 夏だと、まだ明るい、日が長いから6時でいいんですけど、冬になると5時とかになっちゃいます。

さだ 普通でしょ!

佐々木 えぇ?!

観客  (笑)

佐々木 (観客に)普通ですか?

さだ 高校生でしょ!

佐々木 高校生ですけどぉ、もうちょっと…。

さだ 高校生がね、日が暮れて、くっちゃくっちゃ喋っているバカ娘とバカ息子がねぇ!(以下、グダグダに)



【山口百恵18歳、佐々木彩夏17歳】

さだ 実はこれはね、山口百恵さんのために書いた歌なんです。

佐々木 はい。

さだ 山口百恵さんがこの歌を歌ったのは18歳です。(佐々木の目をじっと見る)

佐々木 !

さだ だからね、18歳でこの歌を何事もなかったかのように歌ってしまった山口百恵のね、底力っていうか、恐ろしさというかね、改めてこの歌を歌う度に感じるんですけどね。それより若いですから、安心して歌ってください!

佐々木 (観客に)ちょっと出来の悪い娘なんですけど、ちょっと大目に見てください。すみません。


(中略)


さだ 17歳でこの歌を歌うってのは、まあちょっとピンとこないだろうし。

佐々木 はい。

さだ でも、いつか来るんでしょうね。素敵な人と巡り会えたらいいね。


「秋桜」のWikipediaを見ると、さだは山口百恵に提供したときにも「ピンと来ないでしょう?」と聞いている。


さだは電話で「(結婚をテーマにした作品であるため)まだピンと来ないでしょう?」と尋ねたが、そのとき当時18歳だった山口は「はい」と正直に答えている。しかしその後、結婚を期に引退するラスト・コンサートの日(1980年 10月5日 )に「この歌の意味がようやく分かりました」というメッセージをさだに送っている



 この日のデュエットは、1番を佐々木がメインでサビのコーラスにさだが入り、2番はさだがメインで歌って佐々木がコーラスで入った。


佐々木 (歌い終わったあと、一瞬、マイクで挨拶しようとするが、その前にさだまさしに抱きつく)パパー!

さだ (笑顔で受け止める)

佐々木 (深々とお辞儀)ありがとうございました!

さだ 佐々木彩夏ちゃんですー!

佐々木 ももいろクローバーZ!(Zポーズ)

(観客席からひとりだけ) ぜーーとっ!

佐々木 ありがとうございます! 佐々木彩夏でした! ありがとうございました!

さだ もう一度、(「盛大なる拍手を」と言う前に…)

佐々木 お邪魔しましたーー! (逃げるように、走りさっていく)


(戻ってきた坂崎に)

さだ きっと彼女は、この歌のこと忘れないね。それだけでも嬉しい。


 

 そしてこの日、佐々木はブログに喜びと未来への希望を綴った。


今回は さださんの前で あーりんのつたない「秋桜」を

さださんのファンのみなさんに聞いていただくなんて…。

あーりんの緊張 わかるでしょ?笑

でも、さだまさしさんや会場のみなさんがとてもあたたかく見守ってくださって…

さださんが一緒に歌ってくださって、リードしてくださって

あーりん、心強かったですっ

歌い終わったとき、たくさんの拍手を頂いて

うれしくて ホッとして、はしゃいじゃった!笑

本当に楽しくて、夢のような時間でしたっ

(中略)

ソロコンサート4000回って…ほんとにすごいよねっ

だって、4000回だよ?

1日1回、コンサートしたって

10年以上かかるんだよ?

ソロコンサート4000回を越えて

ずーっと多くの人に夢や希望や感動を与え続けるって…

本当にすごいなぁって思いましたっ。

ももクロもたくさんライブして、ながくみなさんに愛されて

そして、愛をお返しできるアイドルになれるようにがんばりたいと思った(´∩ω∩`*)

生意気なようだけど…かけがえのない曲になったって思うの。

たくさんのアーティストの方が「秋桜」を歌ってらっしゃるのを聞くけど

高校生の「秋桜」といえば佐々木彩夏だよな、だなだなー\(^o^)/

って言われるようになりたいなー笑


2013年7月18日「☆おめでとうございます。あーりんです。☆」(佐々木彩夏 オフィシャルブログ 「あーりんのほっぺ」) 



【秋桜に見る、ももクロの継続性の目指す場所】

 この「秋桜」を巡る佐々木彩夏の挑戦と成長の物語は、常に高い壁を目標としてを設けて挑戦させることでメンバーの成長を(やや無理矢理に)促す、という川上アキラの育成方針の典型例でもある。

 仮に2012年夏のお台場フォーク村でのフォークソングへの挑戦が1回きりであとに続かなかったら、「そんなこともやったよね」という、よくあるテレビ的イベントのヒトコマに終わったことだろう。
 しかし、佐々木彩夏の小さなこだわりを、唐突で無謀にも思える独自のフォークソングイベント「白秋」を開催することでファンにもわかりやすい形で展開し、継続性を持たせることに成功した。

 「白秋」ではゲストにフォークの大御所である南こうせつを迎え、ステージ上で「フォークとは何か」について、ももクロは大御所から直接指導を受けるという幸運に恵まれた。
 さらに2013年春の西武ドームライブでは、再び南こうせつがゲストとして登場し、3万人超の大観衆の前でフォークソングを歌うという機会もあった。

 そういった一歩づつステップを昇るなかでの、ひとつのマイルストーンとして、佐々木彩夏とさだまさしのデュエットが実現された。これらの一連の経験を通して、佐々木は歌の「表現」について深く考える機会を得て、メンタル面でより成長を遂げた。それは、音程を外さずに歌うというような技術的側面とは別の、表現者として大切なものを得たということなのかもしれない。 

 百田夏菜子が一年以上にわたる「メレンゲの気持ち」の出演経験からトークやバラエティの力を磨き、それがメンバーに良い影響を与えているように、佐々木彩夏の得た経験もメンバーに影響していくことになるのだろう。 


(追記)
 2013年7月31日に生放送された「FNS うたの夏祭り」では、ももクロの5人がさだまさしと一緒に「秋桜」を歌った。最初のワンフレーズ目は佐々木彩夏のソロだった。

 

【動画】


ももいろクローバーZ 佐々木 彩夏/秋桜

「お台場フォーク村」と「白秋」の2度の佐々木彩夏の「秋桜」をまとめた動画。

「お台場フォーク村」は未調整のCS版のようで、佐々木の成長ぶりがよくわかる。




秋桜 佐々木彩夏

さだまさしのソロ公演4000回記念コンサートでのデュエット。




秋桜
山口百恵によるオリジナル



(以下、古今の歌姫による「秋桜」のカバー。それぞれを聞き比べてみれば、佐々木彩夏の挑戦がどれほど途方もなく、どれほどの勇気が必要なことだったのか、それがわかる。)


『秋桜'02』中森明菜
かつて山口百恵の後継者のひとりとされた中森明菜によるウィスパーボイス・バージョン。


岩崎宏美 - コスモス

さだまさしのソロ公演4000回記念コンサートにも出演した岩崎宏美による「秋桜」



秋桜(コスモス) 坂本冬美 & さだまさし
春の一大事2013 西武ドーム大会二日目にももクロと共演した坂本冬美がさだまさしとデュエット。



森昌子 秋桜 1983年 Masako Mori Kosumosu
「中3トリオ」として山口百恵とともに活躍した森昌子によるカバー

 

秋桜 ‐ 平原綾香
佐々木彩夏から「パパ」と 呼ばれたさだまさしは「いいけどさ、平原綾香からもパパと呼ばれているから」と言った。その平原綾香によるR&B風「秋桜」





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