宮本純之介 (みやもとじゅんのすけ)


キングレコードのディレクター兼プロデューサー。2005年キングレコード入社。
アニメ・声優関連の楽曲の専門レーベル「スターチャイルド」を取り扱うスターチャイルドレコード所属。

アニメ作品の音楽プロデューサーとしては、「さよなら絶望先生」シリーズ、「とらドラ」、「輪るピングドラム」、「じょしらく」「悪の華」などの作品を扱った。
同時に、アイドルグループ・ももいろクローバーZのほか、MEG、特撮、宇宙人などのアーティストを担当している。

ももクロの作品は、2010年11月10日に発売された、スターチャイルド移籍一作目のシングル「ピンキージョーンズ」以降、ほぼ全作品を手がけている。
 
■特撮とももクロ
 
前述の「ピンキージョーンズ」をはじめとして、「天手力男」「LOST CHILD」「黒い週末」「BIRTH Ø BIRTH」といったももクロの曲を作曲・編曲しているNARASAKIは、宮本が担当しているバンド「特撮」のギタリストであり、プロデューサーでもある。

ももクロがメタルの祭典「Ozzfest Japan 2013」に出演した際も、NARASAKIはサポートギタリストの一人として一緒に出演している。

また、特撮のボーカルであり、NARASAKIとともに2枚看板の1人でもある大槻ケンヂは、ももクロの6thシングル「労働賛歌」の作詞を行っている。

宮本は、アニメ「絶望先生」シリーズにおいても特撮のメンバーを起用した主題歌「人として軸がぶれている」でヒットを飛ばしているが、ももクロの音楽プロデュースにおいても、特撮のメンバーを適時起用することで、ももクロの楽曲のロック的な側面を骨太なものにしている。


■ビジュアルやテーマから楽曲を制作していく
 
レコード会社のディレクターとして、宮本純之介は単に楽曲を制作するだけでなく、ビジュアルも含めたテーマやコンセプトの構築から関わっている。

こういった点について宮本はももクロの演出家・佐々木敦規のインターネットラジオで以下のように説明している。 

清野 レコード会社のディレクターってどういう仕事なんでしょうか? レコード会社も制作とか宣伝とかいろいろあるじゃないですか。ディレクターってのはどういう仕事なんでしょうか?
宮本 僕がやっている仕事っていうのは、リリースを考えるっていうところから始まって、年間ではどこどこでシングル、どこどこでアルバムていうのをなんとなくプランニングしつつ、まあ事務所、川上さんとかと相談しながら、まず、ローテーションをくみ上げていくところから始まります。
清野 ローテーション。
宮本 はい、そのリリースごとにどういうコンセプトでやるか、どういうビジュアルでやるか、そこから派生してどういう音楽を作るか、っていうことを、決めて、それを実行に移していくっていう仕事。すごくざっくり言うと、そんな仕事なのかなあと思うんですけど。
清野 つまりCDにおける設計図を書いている方ということでいいですか。
佐々木 そうですねえ。
清野 で、今回はこの作家さんに頼もうとか、最終的にはみんなで相談するんでしょうけど、初めの設計図をお書きになるということでいいんですか?
宮本 そうですね。そういう仕事なんだと思います。


■細胞が進化するイメージ
 
こういった宮本のビジュアルを重視した音楽制作のスタイルが結実したのが、2013年4月10日に発売された、アイドルのアルバムとしては異例なほどコンセプチュアルなももクロの2ndアルバム「5TH DIMENSION」だった。

佐々木 アイドルのアルバムって感じがしないんだよね。これはどういうコンセプトで作ろうって思われたんですか? 設計図を各段階で。
宮本 だいたい、ももクロの商品ってビジュアルとかテーマから入るんですけど、今回は5次元に行くっていう次元を超えるっていうのをテーマにしていたので、そこから「じゃあビジュアルどうしようか」っていう話になり、僕はもう1回宇宙に飛ばしてもいいかな、と。
佐々木 あー、猛烈以来。
宮本 そうですね。ただ、あれはアニメの設定ありきの宇宙空間、宇宙ってのをビジュアルで表したんですけど、今回もうちょっと、生まれ変わりとか、新しい生命が生まれるっていうものを、テーマにした宇宙にしようと思って。
佐々木 ちょっと混沌とした部分はあるよね。なんか、ブラックホール的な。宇宙って。そういう要素もあったりするんですか?
宮本 いや、どっちかというと、もう白い光に包まれているみたいな、イメージで。なんかね2001年宇宙の旅で最後のシーンみたいのがなんとなく、頭にあって。
佐々木 なるほど。
宮本 なんかメカニックな要素ありの、いわゆるわかりやすいロボットものの宇宙じゃなくて、もうちょっと
佐々木 神秘的な?
宮本 そうですね。身体の内部から生まれ変わるみたいな、細胞が進化するみたいなイメージで、まあそこからビジュアル、衣装だったり、そういうものが出来てきたのかな、と思いますね。


■DNA狂詩曲とBIRTH Ø BIRTH
 
佐々木 たとえばロストチャイルドとかDNA(DNA狂詩曲)とか、細胞ってことがキーワードになってたりとか、今回のアルバム曲の中でもそういうのがテーマになっているのがあると思うけど、 わりとそういうのは一貫してこだわっている部分、宮本さんの中でありますよね?
宮本  なんでしょうね? あるかのかもしれない。
佐々木 あんまり緻密に計算しているんじゃなくて、そのときのインスピレーションでやったりしているんですか?
宮本 計算している部分ももしかしたらあるのかもしれませんが。そんなに大きくこだわっているわけではないですけどね。
佐々木 ふーん。
宮本 でもDNAのアンサーソングは、いつか作ろうと思ってて。
佐々木 あれは好きな人多いよね、DNAは。
宮本 そうなんですよ。
佐々木 まあ、セットリストに持ってきてもアガるしね。
宮本 その対称にあるっていうか、その関連にあるのが、今度の「BIRTH Ø BIRTH 」ていう曲だったりとか。
佐々木 それは誰?
宮本 それはナッキーが作ってます。
佐々木 ナッキーですよ。NARASAKIさんですよ。これがまたいいんだ。
宮本 だから、なんとなく引き継いでいる部分はあると思います。

(2013年3月25日 銀座 BODYSLAM BOYSより)

上記のインターネットラジオの番組を聴くと、宮本は制作などについてはあまり熱心に語らないが、作品のコンセプトなどについては、ノリが良くなる。
宮本自身が手配師的なディレクターではなく、熱いクリエイターであることをうかがわせる。


■「Z」の名付け親

2011年4月10日にサブリーダーの早見あかりがももクロを脱退したコンサートの最後に、突如「ももいろクローバー」が「ももいろクローバーZ」に改名することが発表され、聞かされていなかったももクロのメンバーは驚きと怒りで別れの涙が吹き飛んでしまった。

この「Z」の名付け親が、実は宮本純之介だった。

佐々木 これはどうなんでうすか? 宮本さんがつけたんですか?
宮本 僕がつけたっていうよりも、打ち合わせしてて、川上さんとかと、あと何人かいたと思うんですけど、その場に。で、いっそのこと名前変えちゃおうかと。
佐々木 ぐらいまであったんだ!
宮本 …ていう感じで、どこまで本気かわかんないんですけど、そんな話をしてて、じゃあ、なにがいいかなあみたいな形になって、たまたま僕が「Z」って言って、したら、それでいこう、みたいな。
佐々木 ほー。
宮本 なんか凄く、速攻決まってしまったという。
佐々木 わりとそんなもんなんだよね。
宮本 そんなもんですね、毎回。
 

■Zと水木一郎
 
佐々木 でも、なんでZって思い浮かんだんですか?
宮本 なーんでしょうね?!
佐々木 ドラゴンボールとかいろいろありますけど。
宮本 ドラゴンボールは大好きですね。なんか、響きが良かったのと。
清野 マジンガーとか。
宮本 あと、たまたまそのとき、僕、水木さんと一緒にお仕事してて
佐々木 はいはいはい!
清野 水木さん?
宮本 水木一郎さん。
清野 はいはいはい! じゃあ、マジンガーZからですか?
宮本 それもなんとなく、頭にあったのかなと。

■絶対認めないからね!

佐々木 4月の10日に早見の脱退があって、発表したときのメンバーの怒り方がハンパなかったね。舞台裏はやばかったよね。ほんとにみんな、怒ってて。
清野 嫌がっていた?
佐々木 もちろん、もちろん。絶対ヤダ、絶対認めないって。感動の最後、涙ながら終わって(笑)、涙もすぐ涸れちゃいましたよね。
宮本 (笑)
佐々木 あのZ。変な空気になって。
清野 それは宮本さんも、ご存じなんですよね。変な空気になったのは。
佐々木 現場にいたもんね。
宮本 変な空気になってました(笑)
清野 責任、感じませんでしたか? ヤベ、ヤベみたいな。
宮本 ずっと、後ろに。後ろに、後ろに(笑)
清野 言い出せませんよね。「実は俺が」って。
宮本 絶対、無理です。
佐々木 (宮本は)“ジュンジュン”って呼ばれているんだけど、メンバーに。「ジュンジュン、なんでよー!」ってみんな怒るわけ。で、ジュンジュン、後ろに逃げるわけ。 
清野 ほー。
佐々木 今度、俺んとこ来て怒るわけ。「なんでー!」って。で「知らないよ」って答えたら、今度川上さんのところ行って「なんでー!」って。あらゆる大人を捕まえて「なんでー! どうしてよ?」って。みーんな怒ってて。「絶対認めないからね!」って。あんな怒っているメンバー、なかなか見ないですよ。

 (2013年3月25日 銀座 BODYSLAM BOYSより)



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