石川ゆみ(いしかわゆみ)


1981年10月26日生まれ。千葉県出身のダンス振り付け師。

中学1年で創作ダンス部に入って中高6年間ダンスを続け、そのままプロの世界に入った。
18歳のとき、鈴木あみのバックダンサーとして、紅白歌合戦のステージにも立った。
TRFなどのバックダンサーを務め、一時はステージのセンターで踊ることを目指したが、21歳のときに振り付け師の仕事を依頼されたことが転機となり、以来、さまざまなアーチストやイベントの振り付けを担当している。


アイドルグループ・ももいろクローバーZに関しては、正式結成以前から関わり、すべての曲の振り付けを担当している。  ももクロのスタッフからは「世界のゆみ」と呼ばれている。

ももクロの担当となったときはフリーだったが、2013年10月にももクロと同じスターダストプロモーションの芸能3部に所属したことが確認された。

スターダストプロモーション 石川ゆみ 

■魔法先生ネギま!がきっかけ


 石川ゆみがももクロの振り付けを担当するようになったのは、結成前にマネージャーの川上アキラが実写版「魔法先生ネギま!」の出演者の少女達によるライブコンサートをたまたま観に行ったことがきっかけだった。


 川上は、このライブの元となったドラマに出演していたAV女優の及川奈央に会うのが主な目的だったというが、コンサート全体の振り付けを担当していた石川に興味をもって連絡し、ももクロの振り付けを依頼した。そのときのことを川上は佐々木敦規のインターネットラジオで次のように語っている。
 


川上  一番最初に先生のお仕事を見させていただいたのは、「魔法先生ネギま!」という、あのときは及川奈央さんというAV女優を、僕が会いたくて現場に行っていたら、そのコンサート(※1)の振り付けをしていたの…。

佐々木 コンサートじたいのフリを?

石川 はい。

川上 当時、振り付けの先生を探さなきゃ行けなかった。

佐々木 ももクロ結成はしてたという?

川上 まだレッスンとかは初めていなかったんですけども、その時期に…。

佐々木 誰かいい人、いねえかな、と

川上 そうそう。へそ曲がりだから俺も、音楽の担当から「こういう振り付けの先生がいて」とか言われるんですよ。したり顔で。腹立ってしょうがないんで。

佐々木 感じをだして、こられてもね。

川上 そしたら、これ(ネギま!のライブ)凄いんですよ。ホントに全然知らない曲だったり、知らない子たちなんですけど、2時間ぐらい見入っちゃって

佐々木 ふーーーん

川上 あの先生紹介してくれって。石川先生にぜひお願いしたいって言って。

石川 そうなんですね。超うれしいですね。

佐々木 ゆみさんの作品が刺さったわけだね。

川上 すーごく良かったんですよ。全曲ですね?

石川 そうなんですよ。ライブ1本ぶん。十何曲かあってすべて担当させてもらってたんですけど、いろんな曲があったんですよね。元気な曲とか、あとほんとお馬鹿な曲とか、あとスクールライフを切ない感じで表した曲とか、いろんなバリエーションがあったと思います。

川上 先生の仕事をみる、本当に良い機会でした。


(2013年4月20日「ソラトニワ 銀座 BODYSLAM BOYS」)

 

※1 川上は、石川ゆみの仕事に初めて触れたライブはSHIBUYA-AXで行われたものだったと述べている。
実写版「魔法先生ネギま!」のSHIBUYA-AXのライブイベントは、2回行われている。
2007年11月27日の「麻帆良学園学外ライブin SHUBUYA-AX」と2008年4月12日の「魔法先生ネギま!部(仮)タブルイベント」だ。ももクロの結成時期と一致しているのは2008年4月12日のイベントだが、こちらは2部構成で歌と踊りがあったのは、前半のみ。曲数は11曲だった。
(参考)魔法先生ネギま!部(仮)ダブルイベント(前半)(Chishin's Fantasy World)


川上の「2時間」と石川の「十何曲かあって」により合致するのは、2007年11月27日のコンサートのほうだが、時期的には、川上が暇になっていた頃ではあるが、ももクロの前身となった0期メンバーの招集の4〜5カ月前のことなので、日付が合わない。

現在のところ有力なのは、4月12日の「魔法先生ネギま!部(仮)タブルイベント」ということになる。


日経エンタテインメント! 2013年12月号の川上アキラと玉井詩織の対談で、2007年10月時点で川上が玉井を「ダンスができる」という理由で新グループ(ももクロ)のメンバーとして目星を付けていたことが明らかにされた。
ということは、川上が2007年中から振り付け師もしくはダンスの先生を探していた可能性は高くなり、石川ゆみと出会ったのも2007年11月27日のコンサートと考えるのが自然だろう。



振り付けは会議室で決まる?


 「あの空へ向かって」に始まるももクロのすべての曲を振り付けている石川だが、ひとりですべて作るわけではなく「振り付け会議」で議論しながら作り上げていくという。会議のメンバーは、石川ゆみとチーフマネージャーの川上アキラ、キングレコードの宮本純之介、スターダスト音楽出版の佐藤守道の4人。さらにメンバーの意見も取り入れていく(「ももいろクローバーZ JAPAN TOUR 2013「5TH DIMENSION 」 振付 石川ゆみインタビュー」(ナタリー))。


石川 ももクロには、振り付け会議っていうのがあるんで。「ちょっと踊ってみます?」って言って、立って私がその場で踊るんですね。そこで、みなさんが「それいいね!」ってなったらば、だいたい採用で、そこでメモをいっぱいして、であたしは持って帰って、パって思い浮かんだものを最終的につなげます。


(2013年4月2日「ZIP!   振り付け師が教える! ももクロ最新曲の振り付けにチューモーク!」)


振り付けは自宅に帰って作るが、「行くぜっ!怪盗少女」のサビの振り付けは、実家に帰ったときに母親に見せて相談し、それをメンバーにやらせてみたが面白くなく、下半身の動きを加えたことで完成したという。

また、「Neo STARGATE」のサビの振り付けは、高城れにが考えたアイデアを元に石川がふくらませた。


このように石川は、さまざまな意見を取り入れながら、振り付けのアイデアを膨らませて作り上げていく。


石川 その変化が面白いんですよ、やっぱり。だから自分だけでこうやって(狭い視野で)作るだけじゃなくて、いろんな人の意見をもらって、それをメンバーがステージでやって、で、お客さんが一緒にやってくれるんですね。それを観て最高ですね。


(2012年10月9日「ユメノハシラ 振付師 石川ゆみさん」)


心で踊れ
 

石川は単に曲の振り付けを作成するだけではなく、ライブでいかにパフォーマンスを見せるかについて、ももクロのメンバーに指導している。


石川 ダンスってただ身体を動かしているだけじゃないんですよ。心で踊れって私は言うんですけど、本当に自分が心から楽しんで、心から切ないなと思って、にじみだせ。それを顔から出したり、それを身体で表現する。

気持ちで、合わせようと思わないと、外に出ないんです。


(2012年10月9日「ユメノハシラ 振付師 石川ゆみさん」)


手足の動きについても、メンバーが「どこまで見ているの!」と恐れ驚嘆するほどに細かくチェックを行うが、それと同じくらいダンスで自分をいかに表現するか、について重視しているようだ。



満足したら終わり
 

 ももクロの成長物語において欠かせないのが、メンバーの心と体を鍛える厳しい教師としての石川ゆみだ。

 「ももいろクリスマス2011」のDVDの特典映像や「ももクロChan」で流された、2011年のAnimelo Summer Live出演後の石川ゆみによる“ダメ出し”はファンの間にも深く印象づけられた。

 結成以来初めて、さいたまスーパーアリーナ(SSA)という大きな会場に立ったももクロのメンバーたちを、川上アキラや佐々木敦規は「よくやった」とねぎらった。しかし最後に待ち構えていた石川ゆみは、ノートいっぱいに問題点を書き連ね、「もう勢いだけじゃダメだよね」とメンバーたちに注意を与え、「悔しくって本当に」「一緒に頑張るから」とメンバーと共に涙を浮かべた。


 ここで心を鬼にした石川のダメ出しがあったからこそ、4カ月後に同じSSAで単独開催した「ももいろクリスマス2011」の成功とその後の飛躍があったのだろう。


佐々木 俺なんか単純だから演出家としてステージが上手くいったとか「良かったね」なんて言って、終わっちゃうんですよ。だけど、ゆみ先生はノートいっぱいにダメを書いて、(スタッフの)みんなが「お疲れ!」なんて笑顔で拍手するんだけど、(ゆみ先生だけは)裏でえらい怒っているんですよね!

石川 ハハハ!

佐々木 そこが凄いなーと思って。俺は本当に時間がない中で、詰めるに詰め込んで、本当に無茶苦茶やらして(※2)、だけどやっぱり、いままでのリハーサル以上のものを本番で出し切って「いやー、素晴らしい。お前ら良かったよ」で終わりたいんですけど。でも、先生はまったく違っていて、本当に次のため、明日に生きるためのその1、その2を全部書いてるんだよね、ノートにね。で、「良かったんだけど、でもね、同じくらいダメはあるのよ」っていうところをちゃんと裏でやっている。あのプロフェッショナルさは俺にはできないっていうか、凄いなと思うよ。

石川 もっと良くなると思うんですよ。それをできたら。彼女たち、ここで終わりじゃないじゃないですか。どんどん、次のステージも用意していただいているし、それがいつまで続くかわかんないけど、でも、ずーとあるから、じゃあもっともっと良くしていこうよって思っちゃうんですよねぇ。

佐々木 でも、それがなきゃ、終わるよね。

石川 満足したら終わり

佐々木 満足したら終わりだよね。だからさ、とにかく凄いんだよね。ダメだしラッシュがさあ。だから、ホントにそこはプロだなあって。

川上 ダンサーさんとしての意識が高くて、それはプロだから当たり前のことなんだと思うんですけど、でも、それが、あいつらにほしいところだったんで、そばで見ててくれて、ありがたいなあと。


※2:ももクロのライブは大規模で複雑で、その度にダンスのフォーメイションが少しずつ変わるにも関わらず、準備期間がとても短い。

(2013年4月20日「ソラトニワ 銀座 BODYSLAM BOYS」)


 「ももクロChan」などでライブの舞台裏を伝えるドキュメンタリーでは、メンバーがそれぞれにフォーメイションなどを詳細に描き込んだノートを作っている姿が映される。ダンスのためにしっかりとノートを作るというのは、師匠の石川から弟子であるメンバーたちに伝えられた習慣かもしれない。


ももクロ色


 石川の言葉で印象的なのは、ももクロのメンバーが踊って「初めて作品になる」という言葉だ。石川ゆみとももクロ。両者のコラボレーションがあってこその、優れたダンスなのだ。


石川 彼女たちに入れるとね、本当にももクロ色になりますよね。私が踊っても違うんですよ。

佐々木・川上 ふーむ。

石川 凄いなーと思います、力が。彼女たちが踊って初めて作品になるから、それが凄いなと思いますね。
 

(2013年4月20日「ソラトニワ 銀座 BODYSLAM BOYS」


演出家としても


 2012年10月5日に日本武道館で開催された女性限定ライブ「ももクロ秋の2大祭り ~女祭り2012~」で、石川は振り付けだけでなく演出も担当した。

 石川が作り出す「女祭り」の世界は、女性的な可愛らしいバニーガール姿やメイド衣装をメンバーに着せたり、男性ダンサーや女性だけのバックバンドとコラボレーションさせるなど、いつものももクロのライブとはひと味ちがったものとなった。


ゆみ先生もモノノフ?


 2012年11月11日に香川県さぬき市野外音楽広場テアトロンで行われた「独占!ももクノ60分 vol.4」の観客に、こっそり石川ゆみが混ざってももクロたちを見ていた。
 これは、テレ朝動画「ももクロChan」の企画だったのだが、ももクロのライブを見ている石川が、メンバーの失敗に笑いながらも、ときとして涙を流す様子をカメラが捉えた。

 ももクロのパフォーマンスに観客として、心を打たれてしまったようだ。

 ライブの後半では、メンバーから見える位置の観客席で、各曲のフリを完璧に踊って見せた。有安杏果は(石川が変装していたので)「誰だかわからなかったけど、(石川を参考に)見ながら踊っていた」と告白した。



ピンチヒッター


 2013年1月28日のトークバトルイベント「ももクロ試練の七番勝負 episode.3」では、佐々木彩夏がインフルエンザのため欠場してしまった。その代役として急遽ほかのメンバーから白羽が立ったのが石川だった。石川は佐々木のお面をつけ、メンバーと同じピンクの振り袖衣装を着て「黒い週末」を踊った。石川は「島田秀平に手相を見てもらう」という条件でパフォーマンスに参加したという。

(「名勝負連発「ももクロ試練の七番勝負 episode.3」前半戦」(ナタリー))


世界が認めた「世界のゆみ」

 2013年6月22日、千葉県幕張メッセで行われた「MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2013」において、ももクロの「サラバ、愛しき悲しみたちよ」のミュージック・ビデオが「最優秀振付け賞」(Best Choreography)を受賞した。

まさかの、、大変素敵な賞を頂きました。。まだ信じられないけど、凄く凄く嬉しい。これは、ももクロチームで頂いた賞。個人的にはMTVという憧れの場所にももクロがいて、パフォーマンスをさせて頂けた事に感動してます。たくさんのコメント、本当にありがとうございます。本当に!!(;_;)


https://twitter.com/yuppyartbox/statuses/348475485828812800


■スターダストプロモーション所属で明らかになったこと

2013年10月、スターダストプロモーション芸能3部のタレントページに石川ゆみが登場したことが話題となった。

佐々木敦則のインターネットラジオに出演した際、川上アキラが「メディアから取材依頼がきたと思ったら石川ゆみ宛てだった」ということがよくあると述べていたので、取材仕事のマネジメントの必要もあってのことなのかもしれない。

このスターダストのプロフィールページによって、石川ゆみが、堀江由衣、田村ゆかり、平野綾などの人気声優アイドルを多数手がけており、アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の声優たちが行ったライブ「涼宮ハルヒの激奏」も担当していることがわかった。
 

ももクロの初期から歌われているカバー曲「最強パレパレード」は、もともと涼宮ハルヒのラジオ番組のテーマ曲であり、「涼宮ハルヒの激奏」で一度だけヒロイン3人娘の声優(平野綾、茅原実里、後藤邑子)が踊ったものが、ニコニコ動画の「踊ってみた」から世界中にフリ真似が広まっていったものだ。
YouTubeで「Sikyo parde parde」を検索すると、世界中の少女達が踊っている姿を見ることできる。

石川ゆみは、ももクロ以前から「世界のゆみ」だったのだ。


動画

Negima Live Action Live in Shibuya Part A 「3/8」
2007年11月27日に開催された「麻帆良学園学外ライブin SHUBUYA-AX」の模様。川上アキラが初めて石川ゆみの仕事に触れる切っ掛けとなった2008年春のライブとは別のものだが、こちらも石川ゆみが振り付けを担当していた可能性が高い。
動画内で歌っている「図書館トリオ」の左側の宮崎あおい役は、ももいろクローバーの1期メンバーでもある和川未優



ユメノハシラ 振付師 石川ゆみさん



2013.04.02 ZIP! ももクロ新曲振付け 石川ゆみ



ももクロChan #107(2012/11/16配信)

世界のゆみ先生、香川をゆく 独占!ももクノ60分Vol.4


ももクロChan #108(2012/11/23配信)

世界のゆみ先生、香川をゆく後編 ゆみ先生に気づくのか?



【参考】

ももクロの振付師 石川ゆみ(ゆみ先生)は、いつからダンスを始めた?(ももクロまとめクイズ)

ももクロ振付師 石川ゆみが、18 歳で紅白歌合戦のステージに立った訳とは?(ももクロまとめクイズ)


 ももクリ2011映像特典の石川ゆみ先生に感動(いみじくも伊藤「ねじこじ日記」)
 



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