佐々木敦規(ささきあつのり)


1967年4月8日生まれ、中央大学商学部経営学科出身。 

テレビのお笑い番組、プロレスや格闘技番組、アイドル番組などの演出を行ってきた。

有限会社フイルムデザインワークスに所属。


アイドルグループ・ももいろクローバーZのライブコンサートやDVD、TV番組の演出の大半を手がけている。また「ももクロChan」でカメラの陰から「スタッフ」として、ももクロのメンバーによくツッコミを入れている。


プロレスへの思い入れが強く、ももクロのライブに頻繁にプロレスネタを仕込んだり、インターネットラジオ「大人の自由時間 銀座 BODYSLAM BOYS」で毎週熱くももクロとプロレスについて語っている。



■ももクロとの縁は2010年春から

佐々木は2003年から2005年にかけて「アイドル道」というフジテレビのCSの番組の総合演出を担当し。初めてのアイドル番組だったが、沢尻エリカ、中川翔子、北乃きい、紗栄子など、のちにブレイクする逸材が参加しており、ここでアイドルの育て方がわかったという。

ももクロの演出を手がけるようになったのは、初のホールコンサートとなった2010年12月の「ももいろクリスマス」から。その年の春に沢尻エリカのマネージャーだった川上アキラから連絡を受けて、石丸電気で初めてももクロのライブを見て圧倒された。その後、12月のファーストコンサートの演出を依頼され、ほぼ同時に2010年11月26日に配信が開始されたテレ朝動画の「ももクロChan」の演出も開始した。


僕はテレビの中では演出をやってきましたけど本格的なコンサートの演出はしたことがなかったんです。でも『ももクロはテレビを意識したものをやりたい。おもちゃ箱を引っ繰り返したような“テレビのバラエティ”を分かってて、プロレス・格闘技に相通ずる“熱”を伝えていきたいので、それが出来るのは佐々木さんしかいない』と言われて、だったら肩肘張らずに僕に出来ることをやろうと」 

要はK−1、PRIDEでいう『SRS』の位置付けで『ももクロchan』は煽り用、プロモーションツールとしてやらせていただいて。



佐々木に演出を依頼した理由について、川上は次のように説明している。

川上 それは「アイドル道と」いう番組で一緒にやらせていただいて、僕がいままで考えていたアイドルを使った演出の仕方をしてらっしゃらないんです!
佐々木 してないね、してない(笑)
川上 そこで頼むんだったらこの人にって。それはもう最初にお話しさせていただいたんですけど、絶対にというか、アイドル使ったらこうやっちゃうだろうというのが、違うんですよね。はい、だから凄く彼女たちの魅力を引き出してくれるという部分が、ずっと信頼をおいてますね。




■プロレスやK-1、PRIDEの演出を持ち込んだ

ももクロのプロレスネタは、マネージャーの川上アキラが趣味でやらせていたのが始まりだが、その道のプロである佐々木敦規が演出家として参加したことで、それが徹底していく。
 
ももクロの大規模ライブでは、立木文彦のナレーションが情感を盛り上げる煽りV(ビデオ)が定番だが、これは佐々木が得意としていたTV番組「SRS」でのK-1の選手紹介の煽りVの手法を使ったもの。
フジテレビで放送されていた総合格闘技PRIDEについても思い入れが強いようで、激しい巻き舌で選手紹介をしていたレニー・ハートに、ももクロの曲やメンバーの紹介をさせている。
 
佐々木自身はPRIDEについては見る側であったようだが、ももクロと重ね合わせて熱く語っている。

今度、日本武道館を飛び越えて『年末のさいたま』でやるのもセンス的に僕とか川上さんの感覚が入ってるわけです。『年末のさいたま』でやる意味は格闘技の人なら気づくし」

――「12月にさいたまか!」と思いました。

「ももクロに対する愛情はもちろんあるんですけど、演出家として『ももクロのポテンシャル』を見る、という目線もあるんですね。一時期のPRIDEは最高のイベントだったわけじゃないですか。あの時の“熱”、スタジアムバージョンで4万人以上集めて、山縣さんの素晴らしい演出で、(佐藤)大輔の素晴らしい映像でって。あの空間は凄くいい熱でしたけど、今、プロレス・格闘技であの熱がもう一度出来るかといったら僕は厳しいと思うんですよ。でも、あの時の熱や『みんなで盛り上げていく熱気』はももクロだったら出来るんじゃないかっていう気がしているんです。客層もそうだし。ももクロもお客さんに物凄く助けられていて、PRIDEもお客さんが作ってくれたじゃないですか」

――リングと客席の一体感が凄かったですね。

「そこはももクロも凄く通じるものがあって、広義で『エンターテインメント』を捉えるとあの空間は絶対にまた作れると思う。一時期、日本にあった『あの熱』をもう一度、ももクロで体現したいんです。


ここで言及されている「12月のさいたま」とは、2000年代に毎年さいたまスーパーアリーナで開催されていた「PRIDE男祭り」を指している。この「男祭り」のコンセプトと名称もまた、ももクロのライブに活かされている。


■プロレスをヒントにももクロストーリーを盛り上げてきた

佐々木はプロレスの文法を、個々のライブや番組の演出ネタとして使うだけでなく、もっと大きな「ももクロ」というひとつの青春ストーリーを作り、世界観を構築するのにも利用した。

このことについて、TV番組で以下のように説明している。

テロップ なぜ、これほどまでにプロレスの様式を取り入れたのか?

佐々木
 感動を呼ぶために、その、お客さんの感情を揺さぶるような、そういったものを作っていくというのは、非常に大事な仕事なので、よく言うんですけど、それもプロレスから学んだ言葉ですけど、点を線にするというか…

ナレーション
 点を線にしていく、実はこれ、プロレス界の人間はみな、肝に銘じている大切な言葉。
テロップ (点を線に=プロレス界の鉄則)
ナレーション 団体間の対立や過去の遺恨、分裂騒動など、試合の背景に或るさまざまなことを線で繋げて物語にし観客に伝えることで、その試合を最大限に盛り上げる。それが、プロレス式演出の王道。ももクロもまた、自分たちの物語をさらけ出すことで、観客を夢中にさせてきた。
例えば昨年、もともと6人だったメンバーが一人脱退し、グループ存続まで危ぶまれたとき、残されたメンバーが不安がる表情や、ピンチを乗り越えようと努力する姿を公開することで、より一層多くのファンを獲得することに成功したのだ。

佐々木
 彼女たちの成長のストーリーというのは、常に戦いのストーリーなんですよね。リアルタイムの青春ストーリーなんですよ。そこを点にしてはいけない。やっぱり線として繋げていけなければいけない。何かしらの壁があって、それをひとつひとつ乗り越えていくことによって、彼女たちがひとつ階段を上がっていく、っていうロードムービーだと思うんですね。

2012年9月6日 「音楽ヒミツ情報機関MI6」(Space Shower TV) 

佐々木はかつてのプロレスや格闘技に燃やした情熱を、ももクロに託して新しい形で表現しようとしている。それは、彼がメディアでインタビューを受けたりインターネットラジオで喋るたびに、ももクロについて単なる仕事の範疇を超えて熱く語っていることから感じられる。


■新日本プロレスから演出家として招聘され、興業戦争勃発

2013年11月11日、佐々木敦規が2014年1月4日に開催される「バディファイト Presents WRESTEL KINGDOM 8」の演出家として招聘されたことが発表された。

発表会には、モノノフとして有名なプロレスラー邪道と、ももクロのチーフマネージャー川上アキラも同席したが、川上は「はっきりいってどうでもいい」「なんで呼ばれたかわからない」と挑発的な発言をし、続いて上映されたももクロからのメッセージビデオも、同じ1月4日に前橋グリーンドームで開催されるスターダスト芸能3部へのイベントを宣伝して挑発するという、展開となった。

さらに、このメッセージをどう思うか? と訪ねられた邪道は、「1月4日は前橋グリーンドームの観客席にいると思う」と答え、これに対して邪道とともにヒールユニットCHAOSを組む、矢野通が「新日本プロレスをなめんじゃねえ」と怒鳴り込み、川上とつかみ合い寸前の激突となり、一気に新日本プロレス VS ももクロの興業対決がヒートアップした。

【LIVE】NJPW PRESS CONFERENCE




■主な仕事

ライブコンサート
「ももいろクリスマス2012~さいたまスーパーアリーナ大会~ 」
「男祭り2012 」
「ももクロ夏のバカ騒ぎ SUMMER DIVE 2012 西武ドーム大会 」
「ももクロの子供祭り2012~良い子のみんな集まれーっ!~   」
「ももクロ春の一大事 ~ 横浜アリーナまさかの 2Days ~  」
「ももいろクリスマス2011 さいたまスーパーアリーナ大会  」
「男祭り2011 」
「女祭り2011  」
「サマーダイブ2011 極楽門からこんにちは  」
「4.10 中野サンプラザ大会 ももクロ春の一大事 ~ 眩しさの中に君がいた ~  」 
「ももいろクリスマス in 日本青年館 ~ 脱皮 : DAPPI ~  」

TV
「とんねるずのみなさんのおかげでした」フジテレビ(ディレクター)
「ももクロchan」テレビ朝日、テレ朝動画(演出)
「別冊ももクロchan」CSテレビ朝日(演出)
「ももクロ式見学ガイド もも見!!」テレ朝動画(監修)
「お台場お笑い道」CSフジテレビ721(総合演出)
「アイドル道」CSフジテレビ721(総合演出)
「SRS」「ジャンクスポーツ」「K-1中継」フジテレビ(ディレクター)
「郁恵・井森のお料理BAN!BAN!」フジテレビ(ディレクター)

このほかTV放送された“ももいろクローバーZ”のライブコンサートの編集・演出も行っている。

PV
「Z女戦争」「労働賛歌」「Z伝説 ~終わりなき革命~ 」ももいろクローバーZ

映画
「ももドラ momo+dra」(監督)



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