前山田健一(まえやまだけんいち)

1980年7月4日生まれの作詞・作曲家、音楽プロデューサー。「ヒャダイン」の名で歌手活動もしている。
アイドルグループ・ももいろクローバーZの代表曲を2010年から2012年にかけて数多く手がけたことから、ももクロのヒットの仕掛け人のひとりとして世間の耳目を集めるようになった。

歌手「ヒャダイン」としては、ももクロと同じスターダストプロモーションに所属している。 
同じくスターダストでももクロの妹分である私立恵比寿中学の「音楽主任」であり、そのほかにもSMAPやAKB48、平井堅、野宮真貴など幅広い分野のアーチストに曲を提供している。
 

前山田健一が提供する楽曲は、それまで普通のアイドルグループだったももクロを、グループとしても、メンバーひとりひとりについても、独特の個性を持ったアイドルとして際立たせることで、ブレイクの原動力となった。
これについて高城れには「自分の個性ってこういうことなんだと気づかせてくれた人」と前山田を評している。百田夏菜子も「行くぜっ!怪盗少女からいままでの曲とはガラっと変わったし、その曲があったからこそ今のももクロのダンスもついた」と述べている。
(2011年8月3日 名古屋テレビ「CONTACT CAFE C」 )

前山田自身も、ももクロの人気と共に音楽プロデューサーとして評価されるようになった。

(ナレーション)京都大学を卒業した前山田は、彼女たちに勉強も教えてきた。彼は5人を戦友だと呼ぶ


(2012年6月3日放送 情熱大陸「人気アイドルをささえるJポップ界の革命児」前山田健一)
 

「ももクロの音楽プロデューサー」と紹介されることが多い前山田だが、ももクロの楽曲のなかで彼が関わっているのは全体の3分の1程度。2012年の終盤あたりからは、ももクロの路線変更が鮮明になり、新曲は従来の前山田路線とは異なるハードでカッコイイ作品が前面に出されるようになってきた。
しかし、メジャーデビュー曲、Zへ改名後の最初のシングル、ソロ&ユニットの代表曲、ライブでの定番曲など、前山田の手がけた曲はほとんどがももクロのライブのキーとなっている。

また、前山田自身が熱いモノノフでもある。テレビ番組「情熱大陸」では、春の一大事2012のライブを客席で見ながら、涙を流す前山田の姿が映し出された。

テレビ番組「musicるTV」では、次のように述べている。



(ももクロのライブを)僕はいつも関係者席で見させていただいているんですけど、最初はじぃっと見てたんですけど、なんか楽しくなっちゃって気づいたら、僕もぶんぶんぶんぶん、振り回して、やってましたね。(中略)でもー、僕はずーーと、関係者席で大暴れしていて、隣の人から冷ややかな視線でいつも見られているんですけども。



 (2012年12月3日 musicるTV「3曲で通になれる ももいろクローバーZ」)




前山田健一のももクロ曲(作詞・作曲・編曲)


Overture
Overtureとは序曲のこと。ももクロのライブのオープニングやアンコールの盛り上げに欠かせない曲。怪盗少女のサビのメロディを元に、プロレスラー・橋本真也の入場曲を参考にブラス・アレンジを加え、「Are You Ready?」「Here Comes The Show」という野太い声は、前山田が自分で歌っている。

行くぜっ!怪盗少女
ももクロのメジャーデビュー曲。和をテイストにした、かわいいアイドルグループだったももクロのイメージを一変させて、ブレイクのきっかけとなった。大胆に歌詞にグループ名やメンバーの名前を入れた自己紹介曲となっており、メンバーの個性を出す方向でディレクションした。現在でも、ももクロの代表曲となっている。

ココ☆ナツ
「ココココ…」と無意味な音が延々と続く大胆なサビで、ももクロの奇想天外な世界観を代表する曲のひとつとなった。ライブで盛り上がる定番曲でもある。


Z伝説 〜終わりなき革命〜
「ももいろクローバーZ」に改名して最初のシングルで、改めての自己紹介曲となっている。同時に東日本大震災後の最初の曲であり、歌と踊りでももクロが日本を元気にしたい、というメッセージが込められている。

ワニとシャンプー
アルバム「バトル・アンド・ロマンス」収録。夏休み最後の日に、まったくやっていなかった膨大な宿題と格闘する狂騒状態を描いた作品。ココ☆ナツと同様にライブで盛り上がる定番曲。


ももクロのニッポン万歳!
アルバム「バトル・アンド・ロマンス」最後の曲。脳天気に日本中を旅して名物を味わうだけの曲かと思いきや、最後の東北地方でその真意が明らかにされる。アルバム1曲目に収録された「Z伝説 〜終わりなき革命〜」と遂になって、アルバム全体のメッセージ性を完結させる。曲の楽しさと込められたメッセージから、これもライブで盛り上がる定番曲。


猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛
テレビアニメ『モーレツ宇宙海賊』のテーマソングでもある。宇宙を舞台にした壮大なスペースオペラを音楽的に構成し、ボヘミアン・ラプソディばりのドラマチックで複雑な展開をみせる。ギターで参加した、マーティ・フリードマンも前山田の仕事を絶賛。ももクロ名義かつ前山田健一の作詞・作曲の組み合わせのシングル表題曲は、いまのところこれが最後。


サンタさん
夏の「ココ☆ナツ」と対になる冬のパーティソング。メッセージ性はゼロで、ひたすら楽しくてかわいい、アイドルとしてのももクロが楽しめる…、と思ったら最後は意味不明の世界に突入してココ☆ナツとクロスオーバーしてしまう。

■ユニット曲&ソロ曲

あかりんへ贈る歌
脱退する早見あかりのために贈る、残るメンバーの生の言葉を歌詞に込めた感動的なドキュメント・ソング。

デコまゆ 炎の最終決戦
脱退する早見あかりと親友だったリーダー百田夏菜子が、脱退をネタにケンカするというユニット曲。デコっぱち=百田夏菜子、ゲジゲジまゆゲ=早見あかり。
百田「だいたいなんで辞めんのよっ!! 今が大事なときじゃんっ!!」
早見「それはほんとにゴメンナサイって 何度も何度も言ったでしょっ?」
という歌詞は前山田が想像で書いたものだが、あとで百田と早見に「なんで知っているの?」と驚かれたという。

だって あーりんなんだもーん☆佐々木彩夏
あーりんこと佐々木彩夏のキャラクターソング。アイドルの中のアイドル、メタ・アイドルとしてあーりんをフィーチャーした楽曲。

あーりんは反抗期!(佐々木彩夏)
あーりんこと佐々木彩夏のキャラクターソング第二弾。彼女を溺愛し、カラオケもプリクラも禁止する母親に対する箱入り娘あーりんのささやかな反抗心を本人への取材を元に作成したドキュメント・ソング。


シングルベッドはせまいのですももたまい
百田夏菜子と玉井詩織のユニット曲。ツアーのホテルでひとりで寝られず、必ず百田のベッドに潜り込む玉井の甘えぶりをテーマにした曲。


事務所にもっと推され隊事務所に推され隊
有安杏果と高城れにのユニット曲。正統派アイドルではないももクロのなかでも、特に扱いが悪いとされる有安杏果と高城れににインタビューして、その不平不満を歌にした自虐ソング。最後は支えてくれるファンへの感謝で終わる。

■別グループ名義曲

We are UFI!!!未確認少女隊UFI
早見あかりが出演するシットコム「ウレロ☆未確認少女」のエンディングテーマ。ももクロとはまったく異なるキャラクター設定の自己紹介ソングとなっている。前山田は「UFI」の読みを「ユーエフアイ」だと思っていたが、レコーディング後に「ユーフィ」であることを知った。


ベター is the Best未確認少女隊UFI
「ウレロ☆未確認少女」の続編「ウレロ☆未完成少女」のエンディングテーマ。


ニッポン笑顔百景桃黒亭一門
テレビアニメ「じょしらく」のエンディングテーマだが、「Z伝説 〜終わりなき革命〜」「ももクロのニッポン万歳!」に続く、震災などにゆらぐ日本を応援する歌詞になっている。吉田兄弟が三味線で参加している。

もリフだョ!全員集合(もリフ)
2012年5月5日に開催されたライブ「ももクロの子供祭りだョ! 全員集合」のオープニングテーマ。ザ・ドリフターズの「8時だよ!全員集合」のオープニングテーマ「ちょっとだけョ!全員集合」をベースに「ズンドコ節」や「誰かさんと誰かさん」などをミックスしたパロディソング。


(作曲のみ)

灰とダイヤモンド
2013年4月のセカンドアルバム「5th Dimension」で唯一の前山田の新曲。しかし作曲のみでの参加となった。6分52秒にも及ぶ大作。大胆でドラマチックな展開は健在だが、編曲は別の人なので、どこまでが前山田の意図したものなのかはわからない。

前山田は、このアルバムの制作が発表されたときに予め知らされていなかったことをツイートし、このアルバム発売前には「芯がない」というツイートをしたあと、すぐに削除した。そのため、「5th Dimension」に対する批判ではないかと話題になった。
ただし問題のツイートは「5th Dimension」を名指しにしていたわけではなく、前山田本人は別のアーティストのアルバムについての意見だったと説明している。

「灰とダイヤモンド」は、西武ドームや日産スタジアムなど大箱ライブのクライマックスで歌われる定番となり、感極まったメンバーが泣きながら歌っている姿も見られ、ファンの間でも名曲と位置づけられている。
 2013年5月17日のUstrream放送「24時間いただきますっ!TV」では、深夜に春の西武ドームの映像をみながら大騒ぎをしていた高城れに、百田夏菜子、有安杏果の3人が、「灰とダイヤモンド」が始まるとモニタの前に集まって静かに見始め、有安に至っては涙を浮かべていたことから、この曲がメンバーの間でも特別な位置付けにあることがうかがえる。



(その他、共作作品)

ミライボウル(作曲で共作)
前山田はクレジットのみで実際にはほとんど関わっていないと発言する一方で、テレビ番組で「ミライボウルで没になったメロディ」を披露したりしている。

全力少女(作詞で共作)
詳細不明。

■不仲説について

2013年春の「灰とダイヤモンド 」以降、前山田健一がももクロに楽曲を提供することはなくなった。
前述の 「5th Dimension」関係のツイートのこともあって、ももクロ陣営と前山田の不仲説を唱える人がいる。

しかし、 ももクロ陣営とは結局スターダストプロモーションとキングレコードのことであり、前山田はいまだにスターダストプロモーションに所属し、ももクロの妹分の私立恵比寿中学に楽曲を提供している(最新は2013年11月20日発売の「未確認中学生X」のカップリング曲「I'm your MANAGER!!!」)。
また、スターチャイルドレーベルでも、楽曲の提供を続けている。

ももクロの楽曲発注先を決めるのはキングレコードの宮本純之介であり、宮本のスタイルはまずビジュアルイメージを固めてから発注先を決めるという。また人気商売であることから話題性も重視されるだろう。

そういったビジネス的な合理性の中で、前山田が発注の選択肢として、いまのところ上がっていないだけ、というのが真相だと思われる。




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